貧しい男がこんな時代に生きるには
開演前、早く着きすぎた渋谷。噂通り、至るところに警察官だ
らけ。
これはうろうろしてるとまた拿捕されてしまうな、と焼鳥屋へ
逃避。
街の長老が数名、すでに出来上がっている中、おひとりさまは
カウンターへ。がっつり冷えたビール、じゅんわり甘い椎茸、
もっちりレバーなどどれも抜かり無し。「あのコーナーはイン
からもっと攻めなきゃなあ」バイク?と思ったら競馬だった。
「で前科だっけ?」あっという間に酒井容疑者の話に飛ぶカウ
ンター内のおやっさん。BGMは何故かシナトラ、エルヴィス
などオールディーズ。いたわさのサビはがつんと辛い。
いい感じで道玄坂を上り、オーチャードホールへ。
予想通り白髪の紳士が8割強。最近ロックフェスやライブハウ
スばっかりだったので新鮮な光景。
このホール、普段はクラシックやオペラなんかを上演している
だけあってとても高級な造り。音響にこだわるライさんの指定
なのかもしれないなあ。でも全席指定、飲食禁止、館内全面禁
煙はちょっとキツかった。
ちょっと奮発して手に入れた席は前から2列目、やや上手寄り
のナイスポジション。10年近く前に観た時はどの辺だったかな
あ?と思い出せないのは歳のせいか?
こっそり持ち込んだ安ワインを隠し呑みしてたら、前座のライ
の息子、ヨキアム・クーダーのバンドがスタート。べっぴんさ
んのヨメはんの歌声は実に美しく、若いのに落ち着きまくった
演奏と相まって場内をゆったり南部へ。スペイン語で歌う曲が
特にうっとりでした。
30分ほどの休憩を挟んでついにライ&ニックさん登場。
二人とも見事に白髪、しわくちゃの初老紳士。おなかもちょっ
と…
しかし、アロハにヘアバンド(一瞬、ネクタイ巻いてるのかと
)のライさん、終始ハイテンションでガナり、暴れるギターを
弾き、煽っていた。こんなロックだったっけな?と思うくらい
に、若々しい。
ニコニコしながらぶっとい音でベースを弾き歌うニック、数少
ない女性客から歓声が。そんな二人をきっちりまとめていたの
が息子、ヨキアムのドラムでした。レイドバックしつつも、若
者らしいタイトでラウドな部分もうまく混ぜ、伝統芸だけでは
終わらない音に仕上がってました。
あっという間の約90分。間違いなく今年のマイベストコンサー
トでした。アメリカ南部からテキサスへ、そのまんまキューバ
へ行ったかと思うとハワイ経由で沖縄へ。時に'50年代のシカ
ゴへタイムトリップ。音楽世界紀行といった感じで、ファース
トクラスのようなふかふかの座席にもたれたまま旅が出来まし
た。
ジェフ・ベックさんと同じく、未だに新しいギターの可能性を
開拓し、進化し続けているライさん。私がスライドギターを始
めたきっかけでもあり、世界中の音楽を紹介してくれた先生で
もあります。なかなか来日してくれない方ではありますが、是
非みんなにももっと聴いてもらいたいアーティストの一人です
。
昨日のショウの中でも一番グッと来たこの曲を。
原曲はアメリカ大恐慌時代のブラインド・アルフレッド・リー
ドさん
。今この時代にも、ずっしり響く歌ですね。
「貧しい男が生きるには」
物価が低いときもあったよなあ
今は、値札見ただけでぶっ倒れてしまいそうだ
そう、俺たちが食物のレシートを手渡される時
遺言を書きたくなるよ
教えてくれ どうしたら貧乏人はこのご時世我慢して生きられ
るんだい?
そう、その医者は満面の笑みでここにやって来た
そして言うんだ
「まあ当面は、あんたは大丈夫だよ!」
そう、やつがくれるのは偽の錠剤だけ
仰山の薬と、目ン玉飛び出るような勘定
なあ教えとくれよ どうしたら貧乏人は生き延びれるんだい?
大方の伝道師、そう、ヤツラは金のために伝道するさ
魂のためじゃなくて
ああ、そいつは俺ら貧乏人を穴の中に閉じ込めちまうもんで
もう俺らは息することさえも出来やしない
死ぬほど税金取られてお説教させられて教育させられて
教えてくれ どうしたら貧乏人はこのご時世我慢して生きられ
るんだい?
なあ教えてくれよ どうしたら貧乏人は生き延びれるんだい?
こんな時代ですが、音楽の力を借りて明日も生き延びましょう
!
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